
画像を加工したりする際に「背景が白く飛んでいて商品が目立つ写真」というのは、ネット向け通販撮影では最もポピュラーな手法ですが、こうしたセッティングについての原理は分かっていても中々うまくできないことが多いと思います。
まず考えられることは「露出計」を使用せず、単純に背景と被写体との光量のバランスを調整しようとするパターンで、厳密に言えばカメラ側のヒストグラム表示や白飛び警告表示で探っていけばゴールは同じですが、あくまでも目安に過ぎません。
できれば露出計を1つ持っていれば数字で明度の判断ができますので用意することをお勧めします。
理想的な背景白飛ばしの状態は被写体と背景との明るさが1段以上変化していることが大事です。
さて、この「1段以上」という露出の言い回し・・厄介ですよね(笑)
露出調整は単純に露出ダイヤルでも行なえますが、絞りでもシャッタースピードでも、ISO感度でも変更できます。
こうなってしまうと、もう何が何だか分かりにくい人もいると思います。
そこで前回の記事で「撮るべきカメラ側の設定」を最初に決めると記載しましたが、ここでも当然同じ考え方でセッティングをします。
では進めていきましょう!
最初に絞り(F値)を決めます。
今回はF値(撮り目)を8として照明の配置や光量を決めていきます。
そして、モデルを照らすメイン光をF8になるように調整していきます。
次に背景に向けてストロボを両脇から照射して
1段明るくなるようにします・・・
ハイ、ここで出ました
「段」という表現、これは以前
「商品撮影で迷うF値の仕組みを知る」 という記事に詳しく記載しています。
つまりF8に対して1段明るくなるということは、背景を露出計で測ると数字はF11になるということです。
ちなみにモデル側をF11で撮る場合は、背景は1段明るいF16となる訳です。
レイアウト図を見て頂ければセッティングの詳細が分かると思います。

注意していただきたいのは、背景に照射するストロボの距離や、モデルと背景との距離です。
状況により変化しますので適宜調整は必要ですが、それぞれの距離が近すぎたり、遠すぎたりしても光量バランスが変わってしまいます。
こうした時に露出計は非常に役に立ちます。
左右にレフ板を置いているのは、背景に向けた跳ね返りの余分な光がモデルに当たらないように設置しています。
こちらが参考写真になります。

このような感じで「背景白飛ばしのセッティング」を行なうのですが、やはり少し面倒ですね・・(汗
実際のところ残念なスタジオ撮影サービスの場合、こうした白飛ばしも微妙に光量のバラつきがあったりするようなので、シンプルですが奥が深いライティングとも言えます。
弊社の場合は同じ「背景白飛ばし」でもいくつかパターンを作って、商材によってベストなセッティングを行なっていますが、まずはモデルに当たるストロボは1灯から始めてパターンを増やしてみても面白いかと思います。
こうしたライティング1つ例に挙げても「写真は光をコントロールするもの」だと理解して頂けると思います。
「どこにどれだけ光を当てるか?」感覚でセッティングができるようにするためには、まずはキチンと光を数値化することも大事です。